猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数

猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 (講談社ノベルス)

猫柳十一弦の後悔 不可能犯罪定数 (講談社ノベルス)

タイトルや表紙イラストから、日常的というか、フツーな事件だという印象を持ってたのだけど
意外な事に孤島ものでした。
舞台となる世界の設定がちょっと変わってて
探偵学というか、助手学を教える大学に通う、助手の卵である学生達と、先生が登場人物。
これ、とても巧いなあと思いました。
学生が主人公なら、定番は、推理サークルもの。
けど、「事件が起こったのに、なにをいつもの読書みたいに推理してるんだよ…」なんて思ってしまうものです
(そういう思いに気付かない振りをしながら読んでいる…)
そんな推理小説の白々しさを上手く解消していると思います。
助手の卵なら、事件に直面した時に、推理したり
探偵役の推理を聴いたりしても自然だし。
そんな設定も良かったし、起こった事件も刺激的で面白かった。


いくつか気になった点もあるけど。。
たとえば、アリバイについて初めて述べるシーンで、
誰がセリフを言ってるのか分かりにくいところが有った。
ちょっと読み進めると、(別の人も証言からすいそくすると)さっきのアリバイはあの人が喋ってたのか、って分かるんだけど
なんか信用できないというか腑に落ちなくて。
(しかも偶然なのか、そいつか犯人でしたww)
あと、文章にムラがあったり、ロジックがスマートでない気もしますが…


やはり北山猛邦さんの作品は、いつもどこか挑戦的な部分、研究的な部分があるようで楽しい。
物語としても、なかなか面白かったです。
この人の作品はこれからも読んで行こう。