読んだもの 凍りのくじら

凍りのくじら (講談社文庫)

凍りのくじら (講談社文庫)

高校2年、芦沢理帆子ー。「家に帰れば、本が読めるから」
誰と離しても、本気で楽しいと思えたことがなかった。
あの光に出会うまでは。
デビュー作以来読んでなかった辻村深月作品に挑戦。
主人公の理帆子は、誰といても「すこし・○○(S・F)」と相手をラベル付けして距離を取ってしまう。表面上はうまく付き合っているのだけど…。
なんだか優しさにあふれた「良い話」な作品なのかと読む前は想像していたのだけど、実際は意外と悪意に満ちている。
ところで、藤子不二雄をリスペクトした作品ではあっても、サイエンスフィクション的要素は全く無いので、そこは要注意。
それから、1章から10章まで ひみつ道具の名前が並んでるのだけど、モチーフ程度というか、あんまりひみつ道具と関わった内容を期待すると、肩すかしかも。
(それでも「カワイソメダル」はウマいなーと思った)


主人公は他人と距離を取るくせに、やたら他人や自分に関する分析が細かくて、「彼はこういう人物だ」という描写が多すぎる。
少しどころか過剰。
イヤな登場人物がいるんだけど、そいつが本当にイヤすぎて、それと付き合ってる主人公もイヤすぎる。
本当にそう感じさせるのは、その人物と本当に関わりを持ってしまった気持ちになってるってことかもしれなくて、ある意味筆力があるのかもしれないけど…
こんな話、読みたくないよ、というのが素直な感想(ラストはスッキリしてるとしても)。


あ、そういえば帯だけ見ると、本を読む楽しみみたなことも描かれるのかと思ったら、あまりその辺も無かったかな。