ピコーン!

熊の場所 (講談社ノベルス)

熊の場所 (講談社ノベルス)

「ピコーン!」読了。この特徴的な句読点の無い文体も、頭の中で音読してみると意外と演劇ではよく観る喋り方に思えた。っていう意外な発見!と思いながら音読っぽく読み続けていると、今度は村上春樹の名前が出てきてまたびっくり。名前というか具体的に感想まで書いてる。「舞城王太郎村上春樹っぽい。かなり好きに違いない」と前から思ってたのだけど、じつはもろに作品中に名前が挙げられていた。だけでなく、再読中の作品なので、以前にも同じように驚いてそれを忘れているか、そうじゃなければモロに名前が出てるというのに自分で共通項を発見したような気分になっていたか、のどっちかだと考えられる。だけでなく、ここまで書いたのとまったく同じ事を前にも書いた気がするw(書きながら思い出したw)。なんてどうでもいいのだけど。
 そんな個人的な発見はともかく、ピコーン!はかなり面白かった。単行本化のときの書き下ろしだというけど、まさにこの本にぴったり収まる、この並びで読まれるために書かれたような作品だと感じられて、舞城はこんな文体だけどシッカリ考えて書いてる、バランス感覚のある人だ、ってことを実感させられる。
 この最悪な事件に含まれたわずかな救いが、わずかなハズなのにとても救われた感じになるのは、やっぱ愛があるからなんだよなー。
それにしても、いつもどおりアホな見立てだなあ。こんなん推理小説作家やったら書けへんって(←ほめてる)。