読者への挑戦〜犯人当てに魅せられて〜@花園大学 その3

質問コーナー。

  • 佳多山さん

「本格の定義」「X問題」(容疑者Xの献身)についてはスルーしたいと思います

  • Q.「トリックはどんなときに思いつきますか?」
  • 大山さん

たとえば目張り密室なら、目張り密室についての暗黙の前提は何かを考える。
それをピックアップし、「もしそれが、まやかしなら?」と考える。
それによって一つトリックが作れる。
常にトリックの前提を考えて、前提の一つをぐらつかせる。

  • Q.「犯人当てが作家活動に与えた影響は?」
  • 麻耶さん

読者に、ゲームのフィールドに上がってきてもらえる作品にしようとしている。犯人当て小説じゃなくても。
解決の手筋はちゃんと書きたいなと考えている。
探偵が犯人を当てる以外の解決は想定していないので、そういう意味で縛られているかも…

  • 大山さん

理研での、「こう書くと読者はどう考えるか」という実地体験が犯人当て以外のものを書くときでも役に立っている。
最初は手がかりを書く時に、分かってしまうんじゃないかとビクビクしていたが、意外と分からないものだな、と分かった。

  • Q.「『仮面幻双曲』の探偵は再登場の予定がありますか?」
  • 大山さん

現代を舞台にしたほうが良いと編集者にいわれたので、登場の予定はありません。
(あの作品は戦後を舞台にする必要が有った)
横溝作品で作られた雰囲気を借りて書くのは安直なので、現代物を書きたいと考えている。
横溝正史の作品も、書かれた当時は現代物だった。

  • Q.「ゲーム性とエンターテインメント性は別だと考えますか?」
  • 麻耶さん

エンターテインメント性というのは、鑑賞(として楽しむこと)だと思う。
犯人当てはゲームとして成り立つかどうかの方が重要。
でも商業誌で発表するときは、エンターテインメント性を切り捨ててはダメ。
たとえば学生のときは動機は必要でないと思っていたが、
今は 小説として考えるなら、問題に動機を潜り込ませないといけないかなと思う。

  • Q.「学生時代と創作の姿勢は変わりましたか?」
  • 大山さん

この質問を受けて考えてみると、あまり意識が変わっていないと気づいた。
それが問題。自分にはプロとしての覚悟が足りなかったと思う。

  • 麻耶さん

難解なものが良いとは思わなくなった。
たとえば10個の手がかりのうち9個を拾っても解けないとか、偽の手がかりを多く入れるとか、そういうのは面白い難しさではなく、単に量の問題で難しいだけ。
学生時代は、解かれるのがしゃくなので、そういった目くらましもしていた。
分かりそうで分からないのが良いのであって、「分かるわけないやん」と思われたら作者の負け。

  • Q.「オススメの作品は?」
  • 大山さん

ポール・アルテの「狂人の部屋」。(殊能将之さんが褒めていたので読んでみた)
(gma このへんからメモがあいまいです…)

  • 佳多山さん

都筑道夫さんの「黄色い部屋はいかに改装されたか?」。
あと、長崎出版の翻訳シリーズはあたりが多くて面白い。
あまり大きな出版社じゃないとおもうので、ここに来ているような人たちが買わないと…w

むしろ普通の小説より、犯人当てのほうが叙述トリックの違和感がないと思う。
インパクト解決したと思わせてしまうことがある?)

  • 大山さん

作中人物は叙述トリックに言及することが出来ないので、どういう騙しだったかを読者に分からせるのに苦労する。

以後、フェア/アンフェアについて等 面白い話も有ったのですが、メモがここで終わってしまってるので、以上でレポ終了です。(多分)