読者への挑戦〜犯人当てに魅せられて〜@花園大学 その2

(長いので記事/見出しを分けてます)
事前に回答されていた「犯人当ての理想的作品」と「自作ベスト」についてのお話。

  • 麻耶さん理想の作品

エラリー・クイーン「Zの悲劇」及び「<生き残りクラブ>の冒険」
ロジカルに犯人が分かり、他の犯人の可能性を消去し、(仮説でしかない)トリックに依存しない、という100点の作品は読んだことが無いが、学生の時に読んで影響を受けたものを挙げた。
Zの悲劇は、解決の手際の良さ、多くの容疑者を消去法でバッサバッサと切っていく爽快感。

  • 麻耶さん自作ベスト

「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」
あんまり(自作ベストを)のせたく無かったが、(推理研で)みんな引っかかってくれたので。
卑怯な作品だけど、学生のころは卑怯もアリだと思っていた。
(今はもう、こういう作品は書けない)

  • 大山さん理想の作品

鮎川哲也「薔薇荘殺人事件」、海渡英祐「天国の活人」、巽昌章「埋もれた悪意」
薔薇荘は手がかりがすごく大胆(ロジックには問題有るけど)。
絶妙のミスディレクションで、それが犯人を指し示していると気づかせない。
「天国の活人」は、ほとんど知られてないと思うので内容を説明します。
舞台は天国で、名探偵ばかりがいる。
ミステリの作者が死ぬと、そのひとの創作した名探偵が天国に行く。
天国の住人になるにはテストを受けないといけない。
天国では殺人はできないが、かわりに活人ができる(天使の輪の内側を通して頭を殴ると、生き返る)。
ホームズを活人した人を当てるのがテストの問題。
嘘をつくと天使の輪が赤くなる。
とても面白い作品。
「埋もれた悪意」は犯人当てのお手本のような作品。
登場人物は少ないが、犯人を当てるのは難しいと思う。

  • 大山さん自作ベスト

「彼女がペイシェンスを殺すはずがない」
ベストというか、商業レベルではこれしかない。
トリックを犯人当てに使うと、犯人当ての精度が落ちてしまう。
これはほとんどトリックを直感的に解いてしまっている。
そのあとはロジカルなのだけど、トリックのところが問題かと思う。