読んだもの 白の闇

白の闇 新装版

白の闇 新装版

私たちはすでに、心の視力を失っている…。
いやー。素晴らしい。
ノーベル文学賞のひとだというから敬遠してたけど、とてもエンターテインメント。
先に映画(ブラインドネス)を見ていても、一瞬たりとも退屈しなかった。
で、原作も凄いんだけど、映画は映画で良かったと思う。
映画の良いところは…
・登場人物の名前が一度も出てこないところが、映画のはさりげなくて良かったと思う。
・小説はすこし、「これって寓話的でしょう」というのが前面に出てたけど、映画はさりげなく寓話的で良い


改行が無くて、地の文と台詞が混在したような文章は、舞城王太郎を連想させるんだけど、でもちょっと違うんだな。
舞城はその文体からリズムとか圧力とかを感じるんだけど、サラマーゴのはそれがなくて。
目が見えないことと、名前が出てこないことと、この文体は…深く絡んでる気がします。


続編の『見えることについての考察』は出版されてないのかな?