読んだもの KAGEROU
- 作者: 齋藤智裕
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2010/12/15
- メディア: 単行本
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著者・齋藤智裕が、人生を賭してまで伝えたかったメッセージとは何か?(書店の予約票には、ふつうに「水嶋ヒロ」と記入されていました)
そのすべてがこの一冊に凝縮されている。
というわけで、水嶋ヒロこと齋藤智裕さんのデビュー作。
文章、お話、テーマは期待どおりの出来でした。
あとは、キャラクタとシーンごとの掘り下げが出来れば、もっと面白くなりそう。
文章のテンポや緩急は上手いな、と読み始めてすぐに思った。
基本的に読みやすいし、メッセージも伝わりやすくて、面白かったです。
(はてな評価のシステムなくなっちゃったけど、星をつけるなら3個。)
ライトノベルみたいと言う人もいるみたいだけど、ラノベはこんなんじゃないよ。
ダジャレも必然性があると感じたし。
あれは読者を笑わそうとして入れてるのじゃなくて、
主人公が、周りとコミュニケーションを取ろうとする意思を取り戻すアレなんだよ。
自殺しようとした主人公が、夜のデパート屋上で謎の男に呼び止められる…
というあらすじからは、どことなく伊坂幸太郎を感じた。
前半は、若干ファンタジーっぽさもあるけど、わりとリアル指向。
後半は、急に作り物になるのだけど、
嘘っぽいというよりは、童話や寓話のような雰囲気も感じた。
だから、もし映像化するなら、後半が難しいなと思う。
以下ちょっとネタバレになるけど、
最後にある絵本の読み聞かせってのは、
この話(KEGAROU自身)のことなんじゃないかなあと思った。
29ページのあれとか、若干メタ指向というか、
本の外側とつながろうとする趣向を感じたのです。
最後のページに誤植を直すシールがあるのは、
誤植だとは思わずに、仕掛けだと思った。重版されたのが出回ったら真相が分かるかな。
後半で雰囲気が変わるのは、「前半で主人公は死んでて、後半はヒロインの書いた本」という裏設定だったりしたら面白いな。