金蘭会高校演劇部「眠りの切り札」

プラネット高校演劇祭「眠りの切り札」(作:樋口美友喜)鑑賞@プラネットステーション。
トロイア戦争で、トロイの木馬に隠れる兵士たちを指揮するシーンから舞台は始まる…
Ugly ducklingの作品だそうです。この劇団、ちょっと気になってたんですよねえ…まさか金蘭の演劇で観る事になるとは。
冒頭のトロイのことは、主人公 杏のクラスの出し物の練習でもあり、杏が通うアロマ教室の先生が聞かせてくれたお話でもあるようだ。


衝動殺人と時期を同じくして眠ったまま起きない少年たちのことや、不眠症についてのことが話の中心であるように思えるのだけど、
劇の構成がなかなか面白いと思った。
劇は2つの時間軸で進む。
メモを書く杏と、そのメモを読む香。お互いに入れ子になっているような感覚で、「匣の中の失楽 」のような酩酊感を覚える。


眠らない杏を心配して、親が通わせるアロマ教室。
その先生(香)が聞かせてくれれたトロイの木馬の話というのは、
「木馬の中に隠れてる間、眠ってはいけない」というギリシア側も
「眠ってる間にやられてしまった」イリオス側も、眠りはダメというイメージを持たせてしまう話だ。
安眠を提供する側の人がどうしてこんな話をするのか。
じつは香の持つ眠りの切り札は、形だけにとらわれたもので、香も安心して眠れる人間ではなかった、ということを暗示していたんじゃないか?


いろいろと深読みしたくなる話であり、深読みしたくなるほど引き付けられ、また逆に、考えなくても感じることのできる、説得力のある演技だったと思う。(実際まだ全然消化してないのだけど、なんか妙に充実感があるし。)
「僕たちの好きだった革命」での主演コンビでもある香&遼は安心して観ていられる心地よい演技で。この2人大好きです。
それからもう一組の主人公である杏と純。この2人、最初は不安定なんですが、お互い信頼を得てからの変化がさり気なくすごい。


前のキンラン観劇はこちら → id:gma:20080309 次のキンラン観劇はこちら → id:gma:20080423